これまでのコンクリート構造物の補修では、劣化性状が表面に顕在化した状態に至ってからの大規模な事後対策、いわば外科的手術による方法が主体でした。
物言わぬコンクリートが、最初に自らの症状を訴えるのがひび割れです。
この初期症状の段階で、適切な診断と早期の治療を施すことが出来れば、コンクリート劣化を抑制し、耐久期間を確実に伸ばせるものと、私たちは考えます。
構造物の劣化原因は様々であり、それらの状態や症状を抑制または改善する目的に応じて補修材料は選択される必要があります。そして、それらの補修材料を簡単に、効率よく注入するための工法が「ベヴェルプラグ工法」です。
「ベヴェルプラグ」は、コンクリート構造物に発生したひび割れに、無機質系補修材料を注入するための専用プラグです。ひび割れ内部から注入することで、0.2mm~5.0mm程度までの幅広いひび割れや内部欠陥等の注入に適用できます。Φ10.5mmの削孔穴にワンタッチで装着可能で、注入後に材料の逆流を防止する逆止弁機能を内蔵しています。
土木構造物のひび割れは、表面が閉塞されている場合がほとんどです。水流式小径ドリルを用いた削孔により、切削粉による目詰まりのない清浄な注入口をひび割れ内部に設けて、劣化進行の根源となる鉄筋近傍を確実に注入材で充填することを目的として開発されました。また、カートリッジ式ハンドポンプの連続注入方式により、空隙を埋めるために必要な量を、完全に注入することが可能となります。
超微粒子(平均約4μm)セメント注入材の使用により、微細なひび割れから大きな亀裂までの注入が可能になりました。また、ひび割れの発生要因に沿って、様々な材料の選択併用が可能であり、ひび割れを埋めるだけの注入ではなく、コンクリート構造物劣化の改善・抑制のための注入工法として適用できます。
ハンドポンプによる施工で、狭所や足場上などの施工でも簡便に施工できます。各プラグが注入口、エア抜き口、材料リーク口として機能するため、ひび割れ内部に必要な量の注入材を確実に充填できます。また、連続施工による直接加圧注入方式により、これまでセメント系注入工法の課題であった材料の分離が生じません。